認知症が進行するとできないことが増えていき、何もせず呆然としてしまう時間も増えることになります。これは認知機能を低下させる原因にもなるため、症状を和らげることを目的に薬を使う薬物療法の他、非薬物療法が必要です。非薬物療法は、脳を活性化して認知機能や生活能力を高め、さらに不安や感情の不安定さなどの緩和が期待できます。落ち着きを取り戻せる場合もあるため、介護職にとっては負担の軽減に期待できる療法です。非薬物療法では、運動や作業、オリエンテーションなどを行い、種類によって効果は異なります。日常的に取り入れられるものだけでも、運動療法、音楽療法、回想法、学習療法など様々な種類があります。いずれも強要せず、利用者本人が楽しんで行うことが大切です。
運動療法は、気軽にできて継続しやすい散歩やストレッチなどを行います。体を動かすことが脳の活性化につながり、散歩では外出をすることで多くの情報を得られてリフレッシュ効果もあり、脳に良い刺激をあたえることができます。回想法は、自分の思い出を人に話すことで脳に刺激を与えると同時に、精神的な安定を図り認知症の進行を遅らせる療法です。認知症の方でも明確に思い出せる記憶があります。経験したことを伝えて心を落ち着かせ、不安感や孤独感を和らげます。音楽療法では、過去に聞いていた音楽を聴くことで当時の出来事を思い出し、脳に刺激を与えます。知っている歌を歌うと自信を得られることもあります。その他にも、アニマルセラピーや脳トレ、美術療法、リアリティ・オリエンテーションなど様々な種類があり、自分のライフスタイルに合わせて行うことができます。